パチーノ物語 第三章 (詐欺 貧乏学生生活)
パチーノでございます。
本日は私の半生を振り返るパチーノ物語の第三章を綴ろう。
前回の記事で綴ったとおり家賃以外の生活費をバイトで賄う貧乏学生生活を送っていた。
◾️50万円のバイクをフルローンで買ってしまった。
上京後すぐにローンで購入したバイクのローンの負担が痛かった。
何故あの生活水準で購入したのか理解できないが当時の私にはとても輝いて見えた。
ヤマハドラッグスター 250ccだ。
高校3年の冬に合宿免許で中型二輪を取得。中型バイクを買わない選択肢は全く無かった。
当然のようにいつかはハーレーに乗っているものだと思っていたが先は遠いようだ。
そんなこんなで上京と同時にバイク屋のローンで購入し返済が始まった。不思議なもので返済額が全く記憶にない。
アルバイトの収入で生活費を賄う状況でありながら間違って50万円のバイクをフルローンで購入してしまったのだ。
更に追い討ちをかけられる出来事が。
◾️詐欺の被害に合い70万円を消費者金融で借りる
今考えればありがちな良く聞く話だ。
ある日、東京の大学に進学していた地元の友人から飲みの誘いがきた。
都心のターミナル駅で待ち合わせた。
どうも様子がおかしい。
飲みに行くはずなのに喫茶店で少し話をしようとのことだ。
どうやら副業でお世話になっている何やらすごい人がたまたま近くにいるから、一緒に来いとのこと。
めちゃめちゃ怪しい話だが無知で貧乏な当時の私には違った。
儲かりそうな話ならここで気に入られて旧友と共に成功するというサクセスストーリーが頭に浮かんでいた。
敵に会う前から負けていたのだ。
意気揚々と向かった先は純喫茶「ルノワール」である。
店内に入るとタバコの匂いが立ち込めた。
旧友に促され席に向かう道中ではそこかしこのテーブルで何やら商談が行われていた。
私は思った。「俺もここで商談をするようになるのだろう」と。
席につき相対したのは、年齢は我々と左程変わらなそうだが高級そうなスーツを身にまとう少し派手目の若者であった。
名前は清田というらしい。
清田「はじめましてー、旧友君の地元の友達なんでしょ。よろしくねー」
爽やかでフレンドリーなその第一声に私は心を許した。好印象であった。
そのまま旧友も交え、地元の時はどうだったとか清田と旧友は大学の友人を通して知り合ったとか他愛もない話をダラダラと続けた。
何気ない世間話ではあるがその中に清田の知性の高さや良い意味での余裕を感じた。
私は現在営業職をしているが、今思えば売れている営業マンの雰囲気と一緒だった。
世間話の延長で軽くそのビジネスの話が出た。が、詳しくは話せないらしい。守秘義務というものがあるようだ。
その話ぶりには含みがあった。
一緒にやるつもりがあるなら詳しく話してあげるよ。という後に続く言葉を予想していた。
少し違った。
清田「興味ある?」
パチーノ「あります」
即答だ。
だが、真面目な話になるからと具体的な話についてはお預けをくらい次回の日程を決めた。
そのあと少し雑談をしていると清田の仲間が来て我々と入れ替わった。
旧友も面識があるようだった。
二人で飲みに行く事になり安い居酒屋へ。
ここで根掘り葉掘り聞こうとするも旧友もなかなか口が固い。
結局旧友が口を割ることは無かったが、もう一人の地元の友達も一緒にやっていることが判明した。余計に胸が高鳴った。
そのあとは中学生時代の思い出話に花を咲かせその日は解散となった。
そして当日。
旧友ともう一人の地元の友達も合流し3人で前回のルノワールへ。
少し遅れて清田が来た。
前回の調子でフランクに会話をしながら席を下ろした。
軽く世間話をし本題に入る。
内容は以下のとおり。
未公開の株式を大量に保有している人がいる。
未発表ながらその株式が上場することが決まっている。
株式の保有者が近い将来に会社を立ち上げる予定があり若いメンバーを募っている。
その条件として、保有している株式の権利を売らせてあげるから、より多く売れた優秀な人材を迎え入れたい。
その株式は上場が決まっているため、買った金額の2倍〜4倍程度になることが見込まれている。
その中で、単純に株式を取得して上場後に売却するキャピタルゲインを目当てに購入するだけでも良いし、前述の立ち上げメンバーの座を狙うなら積極的に売っても良い。
なお、株式は一口あたり70万円となり売れた時には10万円の報酬が入るとのことだった。
購入するだけでも半年〜1年後には数倍になる。
更に商品を売ったら10万円もらえる。
しかもそれだけ儲かる商品だ。
断る理由がない。
即決でサインした。
その足で消費者金融を2件渡り歩き70万円を借金し再度清田の元へ行き支払った。
バイクのローンもすぐに返せるしこれだけ良い商品なら売れるだろうから10万円の報酬も期待できるぞー。
などと人生バラ色の妄想をしていた。
今日はここまで。
ではでは